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ーーーーーーーー 6時の定時を迎えると、河合さんは、 「来週1人で向かわせなければならない取引先があるので、今日辻を借ります」 河合さんは次長に何か言わせる間を作らせないようにしてくれたので、出ることができた。 「いいんですか?あんなことを言って。 嘘がバレたら・・・」 「大丈夫。 来週本当に行ってほしい取引先があるから今週中に案内しとく。 大丈夫。 見積とサンプルを届けるだけだから。 それにそろそろ外にも出て顔も覚えてもらう時期だしね?」 そう言いながら、駅に向かう。 「あまり会社の近くだと次長の耳に入りそうだから、ちょっと離れるね?」 二駅先の駅前。 まだ早いせいか客もまばら。 イタリアンでカジュアルな感じの店で、肩の力も抜ける。 昔の客が連れて行ってくれる高級な店での緊張を想像していたから。 全く違う世界なんだな…って、すごく嬉しくて。 「ワイン、一杯だけいい?」 「どうぞ、どうぞ」 「じゃなくて。 飲めるって聞いてる」 「あ、ごめんなさい。 じゃあ、一杯だけ。 ありがとうございます」
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