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「今日、何かご馳走したいんだけど、帰り少し時間、いいかな…」
考え事をしていた私に、河合さんが言った。
「え?
どうしてですか?」
失礼な返答だったかな。
「独りで頑張らせちゃったから、その償いってところかな…
それに聞きたいこともあるし。
ダメ?
もしダメなら今度でもいいんだけれど、真っ直ぐ帰ったら何も食べずに寝ちゃうでしょ?
時間は掛けないようにするし」
そうかも知れない。
独りで食べるのって美味しくないし、
コンビニ弁当もそろそろ飽きた。
何より、キャバクラの時の癖で、食べないで眠る習性もまだ抜け切れていないし。
「じゃあ、ご馳走になってもいいですか?
帰ってもきっとベッドに倒れ込んでしまいそうですし」
本当ならそっちの方がありがたいのかも知れない。
会社だから何とか気を張っているけれど、許してくれるのなら今すぐにでも突っ伏して目を閉じたい。
こんなに眠いと感じたのは、枕営業をして朝まで抱かれ、その足で講義に出たとき以来。
あのときは白目を剥いてたなんて隣の子に笑われたけど。
「良かった!
じゃあ、帰りは一緒に出よう。
次長に何か言われる前に」
そう言った河合さんは、どこか足取りも軽やかに部屋を出て行った。
その後ろ姿を子供のようで可愛いと感じた。
3つほど年上だけれど、やはり子供に感じてしまうのよね…
本当は、あの年代の人が話も合うし愉しいのだろうけれど。
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