シンクンの家族

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…話した?…いつ!?… ………。 …そういえば、ナプキンを取りに行くって言って一度部屋を出てったっけ…。 【看護婦サンに…怒られた。】 アタシは黙って聞いた。 【ムリヤリやったのかどうか聞かれて…でもオレは事情聞いてないから何も答えれんかった。】 …ゴメン…。 【お前ムリヤリやられたんか?】 …何も答えたくなかったからアタシは黙り続けた。 【何で逃げんかったの!?何でもっと早く連絡してこんの!?何で拒否らんかったの!?】 シンクンは、早口で怒鳴りちらした。 【そんだけ出血するって、どんだけヒドイやり方されたの!?】 …。 アタシは答えた。 【痛かったカラやめてっていったよ?…でもやめてくれんかった。】 …。 【アタシの気持ちは、まだしたくなかった…。】 …。 黙ってアタシの話を聞いていたシンクンが口を開いた。 【もういいわ…。もう話さんでいいわ。 そのかわり次は絶対好きな人と自分のキモチがキチント固まった時にしろ!。そん時がお前の初体験だわ。今日のはただのケガッ!!】 …そんな事言われんでも分かっとるわ…。 また涙が出てきた…。 でも悲しくて泣いとるんぢゃなくてきっと嬉し涙だ。 アタシの初体験はまだ失ってないんだ…。 次こそは、幸せなキモチでイッパイの初体験だといいな。 タバコを吸い終わったシンクンが立ち上がって部屋から出ていった。 …どこ行ったんだろ…。 気が抜けたのかアタシはその直後、急激な睡魔に襲われて知らないウチに寝てしまった。
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