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手術 #2
外が少しずつ明るくなってきた。
…やっぱりアタシんちに向かってない…。
【シンクン…これどこ向かってるの!?】
恐る恐る聞いてみた。
【俺んち…。】
…なんで!?
…急にシンクンが怖くなってきた。
…下半身のあの痛みが甦ってきた。
怖くて何も聞けない。
そのままシンクンもアタシも黙り続け、しばらく走った。
そんな沈黙の中シンクンが急にふり返った。
アタシは思わず身構えシタ。
【そんなビビらんでも、俺お前タイプぢゃね━で。安心して。…あれが俺んち。】
指差した先に県営住宅が見える。
…あそこなんだ…。
でも、家よりもシンクンの言葉が気になった。
タイプぢゃない…。ホッとするべき言葉なのに何か胸に突き刺さる。
そしてバイクは駐輪場につき、シンクンがふり返った。
【降りて下さい。】
…相変わらず機嫌が悪い。
何なんだろ…。
そしてシンクンに連れられ、ある一室の前まで来た。
【大崎】
シンクンの名字だ…。
【親と妹が爆睡こいとるで静かになッ】
家族…家にいるんだ。
ちょっと安心シタ。
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