たったひとり #2

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手を引かれて連れていかれた先は 手術室みたいな部屋だった 部屋の中央にあるカーテンの向こうに人影が見える シンクン!? アタシはカーテンの奥に走った するとベッドに寝てるシンクンがいた 切り裂かれた作業着 ベッドの下にひいてある紙が真っ赤になってる 床は血溜まり 手術が終わって寝てるんだよね? テレビで見た事ある機械がシンクンにつながってないし。 【シンクン!?来たよ?】 寝てるの? 何で起きないの? 鼻と耳カラ血が流れたあとがある 髪はガラス片だらけ 【ねぇッ!?】 アタシは叫んだ。 寝てるから起こさないと。 シンクンいつも朝なかなか起きないから起こすのがいつも大変だった。 何で起きんの 呼んどるが おっきい声で呼んどるが 何で起きんの 起きん事が腹立ったアタシはシンクンの作業着を持って思いっきし揺さぶって叫んだ 【起きろって 呼んどるがぁぁ 何で起きんのだて】 人形みたいにグラングランしとる なんで 21になったらお嫁にもらってくれるって言ったが! 夕方には帰るって言ったが! 浮気したら殺すって、たんか切ったが! ずっと一緒におるってゆったが! 何ゆっても やっても 嘘でしょ? 約束守ってよ。 実感なんてわいてほしくないのに、じわじわ…わいてくる。 【死んだの?】 答えてくれるはずのないシンクンに聞いた。 実感がわきはじめたと同時に涙があふれてきた。 泣きわめくとかそんなんじゃなくて。 なんでかな 静かに涙が頬を伝っていく。 宮崎サンがアタシの肩を抱きゆっくり外に連れ出した。
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