たったひとり #2

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【滋賀に出張に行って…1週間位たった頃…シンヤが夜俺の部屋に来たんだよね。 手に銀行の袋持って…。 今…ここに7万入ってるんだけど…女もんの指輪とかっていくら位するんだ…って聞いてきて。 だから7万も持ってるんだったらかなりイイヤツが買えるぞ…って教えて…。 そしたらアイツ指輪買いたいんだけど…1人で行くのは恥ずかしいから俺についてきてくれって頼んできたんだわ…。 だで俺…車出して買うのついてやって…。 アイツ必死で選んでたよ?…。 お金…生活費で渡した金なんだよね? なのに…人の倍食うヤツがカップラーメン1コで毎食我慢してて……。】 宮崎サンはそこから、もう言葉にならなかった。 …人の倍食べるから…夜中お腹空いたってよく言うから…多めに持たせたのに…。 アタシはシンクンにプレゼントをもらった事がなかった。 誕生日やクリスマスはプレゼント代でアタシの好きな旅行に連れてってもらってたから…。 …こんな事になるならお金使い果たしてでも自分の好きな事に使って欲しかった…。 最初っから最後まで優しかったシンクン。 アタシにはもったいなさすぎたよ…。 さっきまで止まってた涙がまた溢れてくる。 【多分…このカバンのどっかにあると思うから…】 宮崎サンはそういって、立ち上がった…。 【シンクンを見て頂きありがとうございました…。】 アタシは宮崎サンに気持ちをこめて言った。 宮崎サンは泣きすぎて赤くなった目で少しはにかみながら、部屋を出ていった…。
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