お客様 #2

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いつもと同じホテル。 アタシの気持ちと部屋だけがいつもと違った。 チャイムを鳴らす。 気まずそうな顔して…キムニイが現れた。 店長にお金を渡し…イツモと同じ…2人っきり。 でもアタシはイツモと同じように笑顔で接した。 【また呼んでくれてアリガトウ(*^^*)】 アタシはデリ嬢に徹する気でいた。 変な感情持ち出して嫌な気持ちになりたくないし…なによりキムニイとは今日が最後。嫌な雰囲気で終わらせたくなかった。 そしてアタシはシャワーの準備に入った。 お湯を溜めて、バスローブとバスタオルを1枚ずつ洗面台にセットして…。 バスルームからベッドルームに行くとキムニイがうつむきながらタバコを吸ってた。 アタシはキムニイの横に座り話しかけた。 【いつも話だけだと申し訳ないから今日はプレイしようね(*^^*)】 するとうつむいてたキムニイがアタシの方に顔を上げて 【なおチャン…昨日の事なんも聞かないの?】 不安そうな顔でアタシに聞いたキムニイ。 【聞かないよ?麻友の彼氏なんでしょ?…なんにも聞く事ないけど…。】 キムニイは麻友の名前を出した途端アタシから目をそらした。 【俺…別れようと思っとるんだけど…別れの話を切り出す度に…アイツ…ヒステリー起こすから…言えなくて。】 …どっちみちアタシと付き合う事になったとしても、多分キムニイは麻友と別れないんだろうな… そんな気がして仕方なかった。 【別れたい気持ちがあろうがなかろうが、ケジメをつけてから今のキモチをアタシに伝えるべきだと思うよ?…アタシはできれば麻友とうまくいってほしい…。】 うまくいって欲しいって心から思ってるはずなのに… なぜか心が少しだけチクチクした。 【別れるから…だから俺と付き合って…。】 キムニイがアタシに真剣に言う。 でもね…麻友の彼氏って分かった以上…キモチが前に行かない。 どこかでストップがかかる。 何よりアタシには心に決めた人がいるから。
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