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看護婦サンに連れてかれ、診察室に入るとさっきの先生がしかめっ面で何かの写真をカルテに貼っていて…。
【どうぞ】
さっき座った椅子にまたアタシを座らせる。
アタシは先生の見てるカルテをボ━ッと眺めてた。
英語の筆記体みたいな文字で埋め尽くされてるカルテ。
何が書いてあるのかサッパリ分からない。
そして、しばらく沈黙が続いた後、
先生がアタシの方に身体をむけ静かに話だした。
【岩下サン…今妊娠6週目辺りなんですが…今のままだと妊娠の継続が難しいと思います】
先生は、アタシの目をシッカリ見ながら話す。
…そう…なんだ…。
何を言われるか…
自分の身体が今どんな状況なのか…
大体の事は分かってたはずなのに、
改めてそれを、先生に言葉として出されて…
ショックを受けてるアタシがいて…。
アタシは、強がっとっただけで、心の奥底では期待してた。
“大丈夫ですよ”
“問題ないですよ”
そう、言われるんじゃないかって…少しだけ期待してたのに…。
アタシは…
【切迫流産】
そう…言われた。
…なんでみんなアタシから離れてくの…
もうアタシの目からは涙が出なくて…、
渇いたうつろな目で、先生を見つめ続けてた。
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