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アパートに帰ったアタシは、壁にかけてあった赤ちゃんの服を取り、
押し入れの奥にしまい込んだ。
見たくなかったから…。
だからなるべく見ないように押し入れの奥にしまった。
部屋にあった赤ちゃん雑誌もすべてゴミ箱に捨て…、
赤ちゃんに関係のあるものは全て視界に入らないようにした。
赤ちゃんのものが無くなったアタシの部屋は、急に殺風景になって、
なんか余計悲しくなった。
アタシはベッドに倒れこみシンクンの写真を棚から出す。
…アタシ…また…お母さんになれんかったわ…
…アタシ…どう生きてけばいい…?…
アタシは寝ながらシンクンの写真を眺め…心で会話する。
…なんでこんな好きにさせといて、急におらんくなったの…?
…アタシ…全然前に進めんが…?
好きな人と一緒になることも…
お母さんになる事も許されない…。
あの時のアタシは、本当に…
一人ぼっちになってしまった気がして。
病院では出る事のなかった涙が、一粒だけ頬を伝い始めてた。
…居心地悪いお腹に来させてしまって…
…苦しい思いをさせてしまって…
…本当にごめんね…
アタシはシンクンの写真を棚にしまい、
お腹の赤ちゃんにひたすら、謝り続けてた…。
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