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そのまま眠ってしまったのか、起きたら制服のままベッドに寝転んでて、棚にしまったはずのシンクンの写真が枕元に落ちてた。
…いつから寝とったんだろ…
枕元の時計に目をやると夜中の1時過ぎ。
3時にはアパートを出て会社に行かなければいけない。
…今寝たら…多分起きれないな…
アタシは、シャワーだけ浴び会社に向かう事にした。
シャワーを浴びてる間もアタシの身体からは、真っ赤な血が少しずつ流れ出ていて、
寝ぼけた頭を現実に引き戻す。
…まだ止まってないんだ…。
“極力…安静に…”
昨日の医師の言葉が頭に浮かび上がる。
アタシは、安静になんかしていられなかった。
仕事を急になんて、中々休めないし、
トラックに乗ってれば力を使わないで済むけど車内にはひたすら激しい振動がある。
だから、
アタシの身体から赤ちゃんが流れ出てしまうのも…
そう…遠くなかった。
シャワーを浴び終わったアタシは、クローゼットから新しい下着と制服を出し着替える。
…行ってきます。
誰もいない、真っ暗な部屋に声をかけ、アタシはアパートを出た。
誰もいない事は、分かってるけど…
“一人ぼっち”
そう、自覚したくなくて、自然と声に出してた。
アタシのアパートから会社までは、夜中だと15分位の距離…。
音楽もかけず、アタシは車を走らせる。
アパートから持ってきたカバンには、いつも持ってくるおにぎりの代わりに、
数時間前にもらった、赤ちゃんを無理やりアタシの身体につなぎ止める薬が入ってて…。
トラックにカバンを乗せた時、乗せた弾みで…カサカサ…って嫌な音を出してた。
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