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静寂に包まれた室内に重たい空気が流れる。
誰しもが彼から視線を外す事ができなかった。
「これまでに7人…いや今日で8人目かな?」
「絶命する瞬間のあの表情がたまらないよね」
「次の標的はもう決めてあるんだ」
彼が嬉しそうに語る事一つ一つが生々しくて、ここにいる全員が絶句し、顔をひきつらせていた。
「あは、あはは!やだな!ノン太さん!う、嘘は言っちゃダメなルールですよ」
そんな中、ぽぽあってぃさんは無理に笑顔を作って場を和まそうと彼に話しかけたけど、
「それなら、今ここで証明しましょうか?」
と冷たい笑顔を向けると、ぽぽあってぃさんは「ひぃっ!」と声を上げて仰け反った。
「あはは、安心してくださいよ。もう次のターゲットは決めてるって言ったじゃないですか?」
この場は完全に彼に支配されてしまっていた。
参加者全員、この場から立ち去りたいという気持ちが表情に滲み出ている。
けれど、誰も自ら動くことはなく、ただ俯いて、時間が過ぎるのを耐える他なかった。
…そんな中、あたしは少しみんなと異なる感覚に浸っていた。
恍惚な表情で嬉しそうに『自分の行ってきた数々の殺人』を語る彼に一種の魅力を感じ始めてしまっていたんだ。
…正直に言うと、猟奇的な言葉を発する彼の艶やかな声や表情に性的興奮を感じてしまって、身体が疼き出す。
…けれど彼は「ふっ」と吹き出したかと思うと無邪気に笑った。
「…あはは。すみません。全部、でまかせですので心配しないでくださいね。実は今回の『想像コンテスト』でこういう設定の物語を書いてみようと思ってるんですよ」
そして
「僕が本当に殺人者だったら、多分、本当に『墓場まで持っていく秘密』にするんじゃないかな」
目尻に皺を寄せて、彼はポツリとそう呟いた。
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