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帰り道、あたしは公園の中を歩いていた。
しんと静まり返った公園。月明かりと外灯だけが煌々と道を照らしていて、あたし以外、人の気配はない。
少しだけ酔って火照った顔を撫でる風が心地よかった。
今日は楽しかったな…
またみんなと会いたいな…
けど…あの人はもう……
っ!?
その時だった。背後から物凄い力で身体を掴まれ、口を塞がれた。耳元で荒い息遣いが聞こえてくる。
やだっ!?なにっ!?
必死に抵抗を試みたけれど、あまりに強い力でなす術なく、そのまま脇の草むらへと連れてかれ、乱暴に地面へと叩きつけられた。
恐怖以上の混乱があたしを襲う。馬乗りになったその人影を見て、あたしは戦慄を覚えた。
「…また会えたね」
聞き覚えのある声。その声の主は目尻に皺を寄せて、くしゃりと笑った。
嘘…嘘でしょ…
月明かりに照らされた男は冷たい笑みを浮かべたまま、あたしの首を絞めつけた。
「1つだけ教えてあげる。僕の言った『秘密』なんだけど、あれ本当の事なんだよ」
微かに震えた声。けど、それは緊張とか恐怖で震えている類ではなくて、快感に捩れているといった類のものだった。
誰か…助けて…
「大丈夫。君はとても素敵な女性だ。だから殺した後、たっぷり可愛がってあげるからね」
ぎりぎりと首が絞めつけられる。
嬉しそうに笑う男の目尻の皺が更に深くなっていく。
息が出来ないよ…
声が出せないよ…
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