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19 もう、飛ばなくちゃ! (続き)
それにしても男という生き物は単純だと、我ながら思う。
正直、肉体が「男」を取り戻した今、
本能的には、一日中でも彼女と繋がっていたいというのが本音。
だが、今朝のぎこちない彼女の動きを見ていると、
さすがに昨夜の今日では求め難かった。
だから、この夜は二人で一緒にベッドに並んで手を繋いだだけ。
しかし、俺の気持ちには、それでもどこか余裕のようなものが生じていた。
実はその日の帰宅前、俺は、報告も兼ねてアポなしで病院に足を向けた。
そして、たまたま少しだけ時間を貰えた担当医と話をして納得した事がある。
「それは、おめでとうございます。でも、奥さんに本当に感謝ですね。
何しろ、奥村さんの心を閉ざしていた一番の不安材料を、
時間をかけて、信頼と優しさで取り除いてくれたんですから。
やはり、この症状の特効薬というのは、
最高のパートナーに勝るものはありませんね」
そして、言われた。
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