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彼女が俺だけを見つめ、俺だけを愛してくれるという現実が、
俺に、再び誰かを愛して、受け入れても大丈夫だという自信を
取り戻させてくれたのだろうと。
そんな言葉をもらった、帰り道。
俺は、色んな事を思い出し、頭の中に巡らせていた。
初めての恋愛を、あんな裏切り行為を目の当たりにすることで失い、
俺の身も心も傷付き、臆病になり、ボロボロに壊れた。
しかし、本当に偶然と重なった彼女の不思議ちゃんパワー。
そのお蔭で、俺は、自然な流れで彼女に惹かれていき、
奇妙なストーカー騒ぎまでもが俺たちの恋の味方になった。
それからというもの、彼女は、本当に真っ直ぐ俺を見つめ恋してくれた。
そして、そんな彼女の純粋な想いが俺の心を恋愛へと誘い、
腰の引きかけた俺を引っ張って、結婚へと導いてくれた。
そう思い至った俺の鼻孔に、ふんわりと彼女の匂いが蘇る。
その途端、帰宅電車の中だというのに不覚にも涙が浮かんできた。
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