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そして同時に、担当医に、最後に穏やかに言われた言葉も浮かんでくる。
「どうか、奥さまを大事にされてください」
それに、小学生のように思いっきり頷いた自分が目に浮かぶ。
しかし、そんな風に得られた「男の余裕」も
所詮、本能には勝てなかった。
お陰で俺の「余裕」の寿命なんか、持って一日。
はっきりと目に映って艶とエロさを格段に増した彼女への接触は、
自然と変わってしまう。
それでも、朝の「行ってきます」の時は相変わらず。
しかし帰ってからは、そうはいかない。
「ただいま」
キッチンで夕飯の支度をしている彼女を背後から抱きしめて、
まずは柔らかな頬に小さくチュウ。
「お帰りなさい。お疲れさま」
ニッコリ微笑んで腕の中でわずかに振り返る彼女の唇を
今度は柔らかく塞ぐ。
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