19  もう、飛ばなくちゃ!  (続き)

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そして同時に、担当医に、最後に穏やかに言われた言葉も浮かんでくる。 「どうか、奥さまを大事にされてください」 それに、小学生のように思いっきり頷いた自分が目に浮かぶ。 しかし、そんな風に得られた「男の余裕」も 所詮、本能には勝てなかった。 お陰で俺の「余裕」の寿命なんか、持って一日。 はっきりと目に映って艶とエロさを格段に増した彼女への接触は、 自然と変わってしまう。 それでも、朝の「行ってきます」の時は相変わらず。 しかし帰ってからは、そうはいかない。 「ただいま」 キッチンで夕飯の支度をしている彼女を背後から抱きしめて、 まずは柔らかな頬に小さくチュウ。 「お帰りなさい。お疲れさま」 ニッコリ微笑んで腕の中でわずかに振り返る彼女の唇を 今度は柔らかく塞ぐ。
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