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正直、「幸せ?」と尋ねれば、必ず嬉しそうな笑顔で頷いてくれる。
それに、別段、望んでいることを我慢しているようにも見受けられない。
だが、そんな彼女を、もっと幸せで輝かせたい。
欲にも似たこの感情が、俺の中ではどんどん膨らんでいく。
しかしやっぱり俺は、その感情を満たす術を見付けられずにいた。
だが、今の俺には、こんな時にはコイツがいる。
そして期待違わず、彼女との出会い以来
なぜか肝心な時の鍵を握ったらしいこの男が、
再び俺に鍵を投げてくれる。
それは五月も半ばとなった、ある日の昼休み。
珍しく、コンビニで弁当を買ってきた笹本の他愛のない会話に始まった。
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