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「スピカ。こっちにおいで」  悠斗はベッドで横になり、手招きをする。 「……はい。ご主人さま」  スピカは頬を赤らめて悠斗の傍に近づいた。  悠斗はそこでスピカの小さくて柔らかい体を抱き締めた。 「大丈夫。これ以上は何もしないよ。今日はもう疲れた。だから暫くこの状態のまま……寝かせてくれ」  スピカは残念なようなホッとしたような複雑な笑みを浮かべる。 「……分かりました。ご主人さま」  女の子特有の甘い香りが悠斗の鼻孔をくすぐった。  なんとなく手持ち無沙汰になった悠斗は、スピカの体を抱き寄せたまま彼女の犬耳に触れることにした。 「はう……」  スピカの口から悩ましい吐息が漏れる。  スピカの犬耳はプニプニとして非常に触り心地が良い。  何ならこのまま一生、犬耳を撫でまわしていたいくらいであった。  けれども。  流石に何時までもスピカの体に触れているわけにもいかない。 (うーん。これは慣れるまで寝付けそうにないなぁ)  悠斗は人生で初となる『女の子と同じベッドで眠る』という一大イベントを噛みしめながらも、瞼を閉じて強引に眠りに入ることにする。  ~~~~~~~~~~~~  ところで。  トライワイドには避妊具という概念が存在しない代わりに――。  高位の呪属性魔法の中に一定時間、対象の生殖機能を停止させる『避妊魔法』というものがあった。  悠斗がそのことに気付いてショックを受けるのは、随分と後のことになる。
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