3-1

23/34
前へ
/620ページ
次へ
 その日の夕食は、悠斗にとって物珍しい料理が並んでいた。  コイの洗い、フナの甘露煮、ナマズの蒲焼、などなど。  市場で買ったばかりの新鮮な川魚のフルコースである。 「ぬおっ。これは……」  川魚には苦い思い出しかない悠斗は、一瞬、苦悶の表情を浮かべる。  けれども。  美少女が自分のために作ってくれた料理であれば、男として食べないわけにはいかない。  意を決した悠斗は、おそるおそると言った手つきで箸を伸ばす。 (あれ……? 意外に臭わないぞ)  川魚特有のクセはあるのだが、食べることには全く支障のないレベルである。
/620ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13263人が本棚に入れています
本棚に追加