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以前にオークの屋敷で手に入れたアイテムを競売にかけてから既に48時間が経過している。
悠斗はその代金を受け取りにギルド公認商店に訪れていた。
アドルフは悠斗の姿を見かけるなり気さくな口調で声をかける。
「おう。久しぶり。兄ちゃんのことをずっと待っていたのよ」
「競売に出した品なのですが……換金できています?」
「おうよ。バッチリさ! 兄ちゃんは運がいいね。たまたまその日は他に目ぼしい品がなくて沢山の問い合わせがあったのよ」
すかさずアドルフはテーブルの上に金貨を1枚置いて。
「まずは《コボルトの煙管》の落札額の1万リアだ。こいつはまあ……およそ相場通りってところだな。成金趣味のオヤジたちに愛好家が多いから価格が安定しているんだ」
「……おぉ。ありがとうございます」
たかだか煙管1個に1万リアの値段が付くとは思わなかった。
悠斗は思わずそのテンションを上げる。
「そして次に《伝説のオークの宝剣》だが……こいつは滅多なことでは市場に出回らないレア装備でね。どうなることかヒヤヒヤしたが……最終的には70万リアの値段が付いたよ」
「70万!?」
悠斗はテーブルの上に積まれた70枚の金貨を目の当りにして驚きで声を上げる。
けれども。
それも無理のない話であった。
日本円に換算すると700万円に相当する額がたった1個のアイテムに付いたのである。
伝説のオーク……侮りがたし。
「これだけの金が一気に手に入ったんだ。装備を整えるのも良いが、俺としては奴隷を買うことをオススメするよ」
「奴隷……ですか」
「ああ。稼ぎの良い冒険者たちは、奴隷を連れてクエストに出かけることが多いのは知っているかい? 奴隷をパーティーに加えれば色々なクエストが効率的になるからね。それに酒場でパーティーを組むのと違ってアイテムのドロップに揉める必要がない」
「……なるほど」
既にスピカという奴隷がいることについては、アドルフには黙っておくことにした。
何故ならば、つい一昨日まで初心者用の装備を買っていた人間が、奴隷を連れ歩いているのは不自然に思われるのではないかと危惧したからである。
スピカには事情を話して宿屋で待機して貰っている最中であった。
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