【始動編・ゲームの世界が壊れる刻・第三章】

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第二ワールドを切り抜けて、新たなワールドに踏み込んだ皇輝と佳織。 今の所、皇輝が言う通りだ。 クリアするタイムを調整する事で、二人はノーマルなプレイヤーと云う枠の中に居る。 その為か、まだ〔コミュ〕と云う協力プレイの枠に、他から加入して来る者は無く。 二人のみにて、ゲームを進める事が出来た。 その意味は、こうだ。 単に早過ぎるクリアは、プレイヤーランクなるものを上げてしまい。 その結果は、ゲームに手こずって苦戦中の、他のプレイヤーを呼び寄せる事に繋がる。 一方で、遅過ぎるクリアは、ゲームの難易度を下げる意味でだろうが。 快調にゲームを進める他のプレイヤーとの共同を、やはり促される。 ゲームの進め具合が良過ぎても、悪過ぎても、他のプレイヤーを招く事に成り。 次に誰か一人でも加われば、これからプレイする全てのステージの広大化を招くのだ。 また、厄介なことに。 メフィストゥに遭遇して、皇輝の設定を弄られて固定化されたらしく。 此方の操作で、‘on-line’と云う協力モードを切れない以上。 与えられた規格の中で、なるべく負担を少なく、被害も出さない仕様を考えるしか無い。 これまで、2つのワールド。 計10のステージを切り抜けて来た訳だが。 ゲームに不慣れ、と云う訳では無いが。 利口にプレイする傾向では無い佳織と一緒にしては、良く安定した時間内でゲームをクリアしていると云えた。 さて、第三のワールドは、〔ライフセンター〕と云うカテゴリーで在る。 皇輝も、佳織も、そのワールドを示す意味が解らない世界と思った。 「ねぇ、皇輝さん。 ‘ライフセンター’って・・、何?」 敷地の外を流れる風景は、平面にして綺麗な映像のCGらしいのだが…。 「意味は、良く解りません。 が、目の前に見えているのが、恐らく学校ならば…。 読んでの通りに、生活に関係した利用施設なのでは?」 その素直にして冷静な皇輝へ。 佳織は身体を全身で向いて。 「処で、皇輝さん」 「はい?」 「何で、そんなに冷静で居られる訳よぉ?。 あんなデっカい学校を前にしてさ」 非難に近い眼差しで、ジロっと見られた皇輝だが。 「そう言われましても・・ね。 複雑に成って、時間も増えてますし。 覚悟を決める以外に、何も手なんて在りませんよ」 と、思ったままに言った。
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