尚人の場合。-2-

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━━━epilogue━━━ 「うっ。。。うわぁぁぁ!!」 次第に部屋に近づいてくる奇妙な音に怯えた尚人は、絶叫しながら飛び出すと、エレベーターとは反対側の非常階段へと走りだしていた。 転げるように非常階段を駆け下り、裸足のままでアスファルトを走る。 時折小石やガラスの破片などを踏み、そのたびに激痛で転びそうになるが、一刻も早く人通りのある場所へ行きたかった尚人は、無我夢中で走った。 時々振り返ると、あり得ないモノがあり得ないスピードで追いかけて来ているのが見えた。 「ひぃっ。。!わあぁっ!!」 あまりの驚きと恐ろしさに、尚人は派手に転んだ。 後ろに振り返り、逃げようともがくが、腰が抜けているのか尻もちをついた状態から立ち上がれない。 その間に、ソレは尚人のところまでたどり着いていた。 尚人を追いかけていたモノ。 それは、死んだはずの由佳と弥生だった。 アスファルトに這いつくばり、重たそうに両手を動かしながら、ズルズルと尚人に覆いかぶさってきた。 何か。。。何か言っている。。。 由佳と弥生の口元が、微かに動いている。 『。。ト。。イッ。。。ゥ?』 『ナ。。。タチト。。。。ニイ。。。。』 え?え?なに?なに?なんていったの? ごめん、ごめんごめんごめんごめんなさい! おねがいゆるして!! 『ナオト。。。アタシタチトイッショニイコウ。。。?』 う。。。わ。あっ。。。 っあああああ! ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああ!! -FIN-
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