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二限目が終わると同時に、いきなり話し掛けてきた府中さんに面食らった。
「浅井君、浅井君、体調大丈夫?」
「あ、ああ、大丈夫だよ」
くんくんくん、あーやっぱりこの娘だ、臭いの。
「そう、良かった、転校早々体調崩して災難だったね、油断しないで気分が悪くなったらすぐ私に言ってね、あっ、私、府中 香、よろしくお願いしますね」
そう言うとニッコリ笑顔で応えた。
「こ、こちらこそ、よろしく」
本当の事を伝えられない理由、その一つに、府中さんを傷つかせない、泣かさないってのがある、もう一つは、府中さん、結構可愛い容姿をしている、良く見ると、かなりの美人、う、ヤバい照れてしまう、緊張して喋れない者とかいそう、何にせよ、誰もがその笑顔を壊したくないと思っているに違いない、臭いさえ無ければ、、、ある意味アイドルだな。
「そうだ、浅井君、放課後になったら、学校案内してあげようか、結構広いから迷わないように、ウフフ」
ああ、なる程、もう一つ彼女に踏み込んで行けない理由があったな。
よく周りを見ると、チラチラと何人もがこっちを伺ってやがる、敵意丸出しの眼だ、その持ち主の殆どが男子だった、大方、遠目に想いを募らせるファン達って所か。
大丈夫、大丈夫、オレは彼女と仲良くなるつもりは無いよ。
「ありがとう、でも、今日の放課後は寮に行くんだ、荷物も届くから、校舎を見て回る時間は無いよ」
「そうなんだ」
「うん」
こんな感じで良いんだろ、転入早々波風なんかは立てたく無い。
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