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1クラス24、5人の生徒全てが、見慣れぬ新参者に顔を向ける、特にオレの頭はまっ茶色で奇異の目に晒されるのは、もう慣れっこ、だが、異質なのはそこではない、この部屋のオレ以外、生徒全てが白いマスクをしていたのだ、風邪や花粉症のマスクだ、もしかして化学の実験の最中か、いやまだホームルームのはず、え!?、振り返ると国分先生までマスクを着用し始めた、なんだいったい、なにが始まると言うのだ。
その時、唖然とするオレの後で教室のドアが再び開いた。
「す、すいませ~ん、寝坊、あいや、遅れました~♪」
一瞬で心臓がキュッとした、今教室に入ってきた女子を一目見て思った。
この女子、前見かけた、鍬を振っていた女生徒じゃないか。
スレンダーなのに凹凸のハッキリしたボディーラインは遠目でもよく分かった、そして日焼けした顔に意志の強そうなその瞳も。
「生徒会執行部にいたので、ち、遅刻じゃないですよね、エヘヘ」
照れくさそうに頭を掻きむしるその女子に、程なく全生徒がざわめきだった。
「な、なんだ」
どうしたんだ、生徒達のこのうろたえようは、そして、ん、なにこれ、なんか、臭う。
「あれ、転校生?」
その女子がオレを見つけて、一歩、一歩と歩み寄ってくると。
「ううっ」
く、臭いっ、なんだこれ、物凄く臭い。
「あれ?転校生君、茶髪ですね、不良だ~」
オレはとっさに鼻と口を両手で押さえ、息を止めた。
「プファッ、無理」
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