月曜日

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
月曜日 とにかくとび回ってみた。森の中は、うすぐらく、友だちゼミのなきごえが、あちこちから聞こえてくる。まけずにないてみた。 外は思っていたより広く、セミの小さな目では、とらえきれるものではなかった。きらくなセミには、くらい土の中のほうが、おちついてくらしていけた気がする。もう土がこいしくなってしまったのかと、少しあきれてしまったが、もうもどりたくはない。  休んでいると、見たこともない虫が、近よってきた。細ながく、うすいはねをもつトンボだった。 「こんにちはセミさん。いいお天気だったので、海のほうまでとんでいったよ。きみは海というものを知っているかい?」 「知らないな。それはどんなところなんだい」 「大きな水たまりなんだが、青くてきれいで、とにかくでっかくて、すばらしいところなんだ」 「ほう、それはぜひ行ってみたいな。どこにあるんだい?」 「山をふたつぐらいこえたむこうさ。でもいいのかい? セミさんは、歌うのにいそがしいはずだよ」  セミはしばらく考えてしまった。気がつくとトンボはもういなくなっていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!