冬月

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眠そうな声で男は囁いた 「君は知ってるかい…?人が1番記憶に残るものを」 「いいえ、私は無知なのです。貴方の言葉が私の全てなのをお忘れで?」 男は女を愛おしそうに眺めながら笑って答える。 「そうだったね、意地悪に聞こえたかな?…じゃあ答え合わせをしよう。答えはね…そう…答えは…」 …そのあと静かに寝てしまった彼。 …ほんとうに意地悪な彼。 「明日には答えが聞けるのかしら…?こんな寒い夜には貴方がいないと…。」 貴方がくれた小さな日記帳。私の大事な日記帳。 行燈に照らされたそれに今日も筆を走らせる。 『今宵も月は見えないようです。夜空は鈍色で明日は雨かもしれません。貴方が雨に濡れないことを願います。』 スッと男の香りに身を委ねながら女は眠りについた
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