異様

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 裏の畑でバラバラにされても生きている子供たちを見つけたのは、ぼくしかいないし、そのことを誰か(恐らく犯人)に見られたからだ。  ぼくは学校から少し離れると、羽良野先生たちを見て、こっちを向いていないのを確かめると、藤堂君と篠原君と亜由美に言った。 「ごめん。大事な本が教室にあったんだ。今、取って来るよ。亜由美は先に帰っていてくれ」  亜由美は興味なさそうにこくんと頷いた。   藤堂君と篠原君も少し滲むような涙目で頷く。  僕はすぐに学校の方へと引き返して、薄暗い杉林の中に隠れた。実は杉林からは楽に校舎の中へと入れるのだ。  木々や葉っぱに引っ掛からないように音に注意して進む。  ただ、下駄箱のある昇降口にも先生が見張っているはずだから、僕は一番手薄そうな体育館のガラス窓から入った。  古い木の匂いと広さの中で、僕はステージに上がってガランとした体育館全体を見つめた。僕はあの裏の畑での事件以来、一人ぼっちなんだなと思った。  誰も助けてはくれない。  でも、生きているけどバラバラの子供たちを助けるためには、仕方のないことだと自分に言い聞かせた。  さて、これからどうしようか。  一人で学校中を何かあるかと探し回る訳にもいかない。  警察の人や先生にバレるとかなり困る。  そうだ。  まずは用務員室へ行こう。  きっと、何かの手掛かりがあるはずだ。  人気のない校舎を目立たないように、ゆっくりと歩いた。足音を消しているつもりだけど、効果があるのかは解らない。  用務員室は学校の西側に位置し、体育館の反対だ。  窓の外を見ると、警察のパトカーの赤いランプが点滅している。  広いグランドいっぱいにパトカーが数台停まっていた。  心臓がバクバクする。  でも、何故かどこか楽しい時間だ。  僕の空想でも、こんなことは一度も考えたことはなかった。    学校とは連絡通路で繋がっている用務員室には、警察の人たちがたくさんいた。僕は真っ青になって、ひょっとしたら殺人事件が起きたのだろうかと思った。  身を低くして、廊下の窓から覗いていた。  ブルーシートは張ってない。  テレビと違うのかなと思っていると、後ろ側の西側階段から先生たちが来たみたいだ。大人の大きい足音がしてきた。  僕はすぐ近くの教室に音もなく。といっても、最初からドアが開いていた。教壇の中へと隠れると、先生たちの会話が聞こえて来た。
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