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天蓋の日陰でおにぎりを胃に押し流し、大きめのビスケットを頬張る。大人たちもきっと今の時間は昼食の時間で、僕と同じく食べものを頬張っているんだ。
大人も子供もほとんど同じだ。
ただ、態度や背丈やお金を稼ぐことをするだけ。
この事件は大人が介入しても、きっと同じだ。
犯人は誰かわからない。
それどころか、世間体とかが邪魔して、何もできないものではないだろうか?
だって、裏の畑で子供たちはバラバラにされても生きている。
羽良野先生は恐ろしい怪物だった。
ことり幼稚園の児童がバスの中から保母さんと運転手ごといなくなった。
こんな事件は誰も。いや、僕がやらなければいけないのでは?
信じてくれる人もいない。
解決できるかわからない。
でも、僕は関わってしまった。一人で何とかしないといけない。
でも、正直あまり気にしてないんだ。
僕は空想の延長がたまたま現実になったとだけ思っているところがあるんだ。
でも、それは恐ろしい現実だ。
時々、凄く怖い時もある。
そんな時は、僕は裏の畑の子供たちのことを思うんだ。
どうしてそうなったの?
それじぁあ、可哀 想だよ……。
「さて、問題のバスの所へ行こう」
僕はリュックにまだ半分ある水筒を入れると、八文字商店街を突っ切って、人気のない道路へと出た。
周りに広々とした畑と雑木林があるだけで、何もない静かな道路だ。
所々、ヒビの入ったアスファルトの地面に電信柱が並んでいる。
畑には、そこには大根が顔を出してあり、大家族の方の田中さんの3番目の息子さんがいた。他の畑にはこの地の人達が仕事をしていた。
3番目の三部木(さぶき)さんが、泥だらけの長靴を拭きながら、ぼくに手を振った。 大家族の田中さんは息子さんが6人いる。全員農業を元気にしていた。
三部木さんは畑から立派な大根を一本抜いてぼくに渡した。
「甘い大根は美味いぞ! ここら辺の大根はみんな甘いんだ! ぼくは確か石井さんのとこの歩くんだね。見てごらん!雑草一本ないだろう!全部俺が一日で抜いたんだ!」
嬉しそうに豪快に笑った三部木さんは、土の匂いがプンプンする作業ズボンとランニングシャツを着てる。
歯が白く健康そうに並んでいた。
「へえ。でも、あそこのかかしが少し傾いているよ」
「あはは、雑草抜いているときに傾いたな」
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