異様

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「いつも一人でやってるの?」   広大とは言えない。けれど、一人で仕事するには大きすぎる畑だ。   向かいの住宅地が遠くに見える。 「ああ、俺だけさ。たまに兄貴の四部木と  弟の二部木が手伝ってくれる」   三部木さんは終始笑った。  農家の人は大らかな心を持っているんだ。  ぼくは御礼を言って大根を貰い。ヒビの入ったアスファルトの地面を、見つめながら商店街の方へと帰った。  三部木さんがいるなら、今日は調査はできない。人に知られると困るところが、この事件の嫌なところだ。   さあ、家に、帰ろう。   甘い大根が今日の収穫だ。  この大根を裏の畑に植えてみよう。裏の畑には辛い大根が育つ。何かあるのかも知れない。
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