限りなく近い0(ゼロ)

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涼香「わかってるでしょ・・・ずっと部屋に引きこもってさあ、学校にも行かないんだったら、せめてアルバイトくらいするように言ったら?」 利治「あいつのことは、俺に任せてくれ、二人には迷惑かけないから・・・」 俊介「迷惑かけてんだろ?俺の二万、直哉に渡したろ!」 利治「あれは・・・ほら、一応俊介が俺に渡した金だから、」 俊介「だから、何だよ」 利治「だから・・・俺が、どう使おうと勝手だろ・・・ってね、」 親父は俺の顔色を見ると、段々とトーンダウンしていった、そうだよ、俺がどういう気持ちか、少しは察したろ。 涼香「呆れるわ・・・もう知らないからね、私は一円も出さないから、」 涼香はそう言い捨てて、自分の部屋に入っていった。 俊介「俺だってやだよ、冗談じゃねーよ」 俺も、灰皿を見つめ続ける親父をよそに、自分の部屋に入った。 でも何も変わらない、親父を見切っても、部屋に籠っても、直哉を批判しても、俺達に降りかかってる状況は変わらない。 でも、どうしたらいいかわからない。 しばらくして、俺は友達に電話した。 今度、旅行に行く予定だったが、とても楽しむ余裕は無い、俺はベッドに横たわりながら、呼び出し音に集中した。 俊介「もしもし、おお、お疲れ、あのさあ・・・」 俺がベッドで寝返ると、目の前には親父がっ立ていた。 俊介「おあっ!あ、ごめん、なんでもない、また掛けるわ、」 親父は、寝そべっている俺を見下ろしていた。その顔は、まるでマネキンのように固まっていた。 俊介「なんだよ!どうしたんだよ?」 親父は片手に持っている電話の受話器を俺に見せた。 利治「今、警察から電話があった、」 俊介「んだよ、俺も何もやってねえよ!」 利治「直哉が、」 俊介「はあ・・・あいつ、この上に何したんだよ、」 利治「近くの公園でな、倒れてたらしい、」 俊介「は?」 利治「意識が無くてな、今、病院で治療を受けてるって・・・」 俺は、返す言葉が無かった。どうしていいか分からなかった。 俺は寝そべったまま、視線を親父から下に落とした。 親父は、何も答えず、そのまま部屋を出て行って、今度は涼香の部屋に入っていった。 涼香の部屋から、涼香の怒声が聞こえたが、親父の低い声が出た後は、涼香は一言も発しなかった。 俺はベッドから起き上がり、病院へ向かう準備をした。
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