限りなく近い0(ゼロ)

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数日後、俺達は直哉のコレクションを手分けした。どうするか考えている時間は無い、行動で解決するしかない。 親父はミニカー、おもちゃ、 涼香は雑誌類、 俺はフィギュア、 俺達はこれらを車に乗って、都内でマニアの聖地と言われているテナントモール「橋本ウェストサイド」に移動した。 現地に着くと、とりあえず涼香の雑誌類を専門店に持ち込んだ。 店内はわりかし明るく、清潔な感じだが、それでも何てこと無い古臭い雑誌が宝石のように陳列されている様を見ると、異様な雰囲気を醸し出している。 真っ白なレジカウンターには、男が一人、長髪の銀縁眼鏡を掛けた、色白で細めな体つきだ。 男はひたすら、雑誌の表面を眺めては、所々を拭いていた。 俊介「ほら、涼香、行けよ、」 涼香「わかった、ちょっと待ってよ、」 涼香は恐る恐る男に近づいた。 「なに?買い取り?」 男は雑誌を眺めながら涼香に話しかけた。 涼香「ひっ、あの、これを見てもらいたくて・・・」 涼香は紙袋から『ヤングボーイ』を取り出した。 男は顔を数センチ上げた後、再び手元の雑誌を眺め始めた。 「五百円、」 涼香「ご、五百円!?」 「あのねえ、それ、かなり状態が悪いし、散々市場に出回っている物なんだよね、だから・・・ ウウェーイ!!!」 男は突然、奇声を発した。 俺と涼香はただ呆然とした。 俊介「何だ、どうした?」 涼香「ああ、そうか、わかっちゃったか・・・」 俊介「何が・・・」 涼香「ほら、男の人の目線、」 涼香は小声で答えた。 俺は男を見た。 男は、これでもか、というほど見開いた目で、涼香の脚を見ていた。 このとき、涼香は短パンを履いていた。上着は眺めのニットを羽織っていたので、ニットのジャケットから素足が出ているように見える。 涼香「私の、美脚に、気がついたのよ、」 俊介「そ、そうか・・・」 涼香「だから、もうちょっとサービスしたら高くしてくれるかも、」 涼香は、俺に軽くウィンクをした。 いやいやいや、するなら男にしろよ・・・ 「そ、それ・・・」 男はさらに、涼香の脚を指差した。 涼香は手で顔を隠した。 涼香「まいったなあ、」 ・・・嬉しそうじゃねーか、 涼香はニットを少しめくり、膝上をちらりと見せた。 涼香「サービス、」 「そっちじゃねえ!紙袋の方だっ!!」 男は思わず叫び、涼香は思わず脚を引いた。 俊介「ばか・・・」
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