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「主任……菜津美と渡ったときも手を貸したりしたんですか?菜津美も怖がってたの?私みたいに……」
これは紛れもない、嫉妬だ。
いま菜津美はイチにぃと私たちの先を歩いてるはずだけど、私は自分の恐怖心と戦うことでイッパイイッパイだし、目を瞑っているから様子を窺い見ることもできない。
主任の腕に更にギュッと強く抱きつきながら、返事を待った。
「遠くからみた限りじゃ、そんなに怖がってるようには見えなかったけど?」
え?………遠くから?
「だって、霧島さんが………」
「…………………あの女、大概だな。修と有田さんが吊り橋を渡っているのを、下で見てたんだ。俺と霧島さんがな。で、マズイことになるかもって煽られて追いかけさせられた。他に聞きたいことは?」
なぁんだ…良かった……。
「まだ、ですか?」
照れ隠しにそう言ったけど、主任の腕にくっついていられるならまだ続いても構わないのに。
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