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「もう目を開けていいぞ。ほら」
え、もうちょっとこのまま…とは言えず、言われた通りに目を開けて吊り橋を渡りきったことを知る。
「あっ、ありがとうございました」
パッと腕から離れてしまった自分にちょっと呆れた。
「じゃ、帰るか。足元気を付けろよ」
今度は主任が私の手を取って、しっかりと握りしめてくれる。
「………はい」
駐車場には、佐伯主任とイチにぃの車しか残ってなかった。
シュウにぃや霧島さん、迫田さんも、いつの間に帰ってしまったんだろう。
イチにぃと菜津美に別れを告げ、主任の車に乗り込んだ。
行きの車の中ではほとんど会話もなく、重い空気だった……私のせいで。
今は、付き合い始めたばかりのようなぎこちなさはあるけど、それが妙に心地よかったりする。
「じゃ、行くか」
車が走り出す。
どこに向かっているの?
私を家に送ってくれるんだろうけど…。
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