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「ジャック、仲間は揃えたか?」
「はい」
「ならば、バルトロメオ号を沈めろ」
「はっ」
ジャックはブーツの底を蹴るようにこの場を去って、生き残った船乗りたちに砲撃の準備をさせた。
「この船の名は?」
「カリュプソー」
少年が答えた。
俺は少年の縄を切った。
「砲撃開始!」
振り返り叫んだ。
俺は知っている。
オヤジはこの紋章の下で働いていた。
裏切り、船を奪って俺も奪った。
なぜなら俺の母は、海のニンフ、カリュプソー。
本当の父が誰なのかは知る由もない。
沈み行く海賊船……バルトロメオ号とキャプテン・ロジャー・ストット。
俺は新しい船に、新たな髑髏の旗を揚げる。
――さよならオヤジ。
秘密は海の底に持って逝きな。
「俺と共に海で生きろ」
俺とお揃いのプラチナブロンドの髪と、同じ名を持つ少年を立たせる。
俺は彼の首に、オヤジから奪ったペンダントをかけた。
~Fin
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