記憶

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 町を襲い、女を犯し、金品、食い物、酒を持てるだけ船に運び込む。  海で金など意味はない。  さっさと別の港に船を留め、贅沢に溺れる。  上等な酒と食料を積み込み、手下にできるごろつきを集める。  こうして潤うと再び沖に出て、輸送船や商船を待ち伏せするのだ。  伝説のお宝を狙うような海賊でもなけりゃ、オランダ海軍と手を組みスペイン艦隊を襲うようなでっかいことをしたいわけでもない。  俺たちはただの小悪党だった。    その夜停泊した港町で抱いた女は、珍しくプラチナブロンドの女だった。 「……ん、んん、なによぅ?」 「いや。  月が明るすぎて、やる気が失せた」  途中で萎えて、体を起こした。  憶えてもいない母の匂いを感じたのだ。  気味が悪かった。
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