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「船だ!」
マストの上からジャックが叫んだ。
三角波が立っていた。
――海流の変わり目か?
「襲えーーー!!」
雨が降り出す中、バルトロメオ号が砲弾を撃ち始めた。
抵抗しようと、船首楼が動く。
中規模のガレオン船。マストの先にはどこの国か分からないペナントがはためいていた。
「欲しいな」
オヤジが呟く。
と同時に大声を上げた。
「もっと、飛ばせぇぇぇ!」
向こうが腹を向けて砲弾を撃ってくるより早く、乗り移るのだ。
雨と波しぶきでどっぷりと濡れた体。興奮した男たちは、血を求めて大声を上げる。
「うおおぉぉぉぉ!」
「乗り移れえ!」
ドオーンと体ごと大きく揺れる。
それは三角波の所為ではない。
相手の船尾にバルトロメオ号の船首がぶつかり、そのまま二隻が並んだ。
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