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何日かして、喧嘩することになった。元から仲が悪かったチーム同士だから余計にだろうけど、俺はそんな気分じゃないからその日の抗争はパスした。そうしたら、アイツから電話が掛かってきた。今何処にいるだとか、何で居ないのだとか、今いるところから動くなとか。そんな事ばっかり言われて、気が付けばアイツは俺の家の前まで来ていた。
「……俺達、今抗争してるんだよな?」
「あ? そりゃぁアッチは喧嘩しまくってんだろうな」
「何でお前俺の家に来てんの? 俺達同盟じゃないだろ。敵対してるよな」
「てめぇがいねぇからだろーが」
中入れろ、お前はそう言って俺の家に入る。靴を脱いでリビングのソファに腰掛ける。自分の家かよと思うのと裏腹に、こういうのが続けば良いとさえ思っている自分が居る。そんなこと口にしたところで意味がない。
「……で、何でいねぇんだお前」
「気分じゃないから。そっちは? 何でいかないの?」
暫し考えてから出された答えは「風呂、借りんぞ」でかわされた。必要なものあったら声かけろよと伝えてドアを閉める。布が擦れる音、ベルトを外す音、ドアが開く音、シャワーの音、どれも想像した事があるものと全く同じだ。ドア越しからアイツが風呂に入っているのを盗み聞きする。今どんなところを触っているのだろか、何をどうしているのだろうか、そんな妄想や想像をして顔が赤くなる。それと同時に罪悪感に押しつぶされる。我に返ってソファに体を埋める。何をそんなに期待しているのか、自分でもあまり分からないが、期待はしている。鼓動が速い。もしかしたら、何て妄想をする。だけど、違う。ただ、汗を掻いたから。そう良い聞かして脈の速さを正常に戻そうと深呼吸した。
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