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古くさかったちゃぶ台までもが輝いて見える。
「圭、ピカピカしてる。掃除どれくらいやったの」
「い、伊万里は寝とけって言ったけど、寝らんなくてずっと掃除してた」
今夜寝かせないから、昼にでも寝ておいて。出掛けにそう言った記憶がある。
楽しみだったのか不安だったのか、居ても立ってもいられなかったのか……そんな圭の姿が目に浮かんで、面白かった。
いや、きっと一日中僕の事を考えていてくれたんだ。そわそわしたりしてたんだろう。
床にあぐらをかき「キッチンだけは、立入禁止だからできなかった」と呟く圭がもう、いとおしい。
「バカだね、圭」
「バカって言うなよ、伊万里」
拗ねる圭の首に腕を巻き付けて抱きついた。硬直する圭の耳に唇を触れさせる。
「寝不足になっても知らないから」
ついでに放心状態の圭の頬にキスをして、僕はキッチンに入った。夕飯の支度だ。そのあとにお風呂、それからは……ひみつ。
起きたらすっかり日がのぼっていて、遅めの朝食にしようとしたところで、圭が扉を壊したんだ。
「圭、僕ごはん作るから、電話しておいてね」
圭に携帯電話を渡すと、僕は寝室を出た。
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