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そんな僕に一喜一憂する圭は、僕とは真逆に豊かな表情筋をもつ。普段から筋トレしたりする圭だから、僕もトレーニングすれば表情にバリエーションが出るかな。
わかってる、それが無意味だって事は。
「どうして圭が連絡するの」
僕が口を開くと圭は視線を泳がせる。なんて言ったらいいか悩み中、と顔に出ている。そのうち、ちょうどいい言い訳が出来たようだ。泳いでいた瞳が僕へ戻ってきた。
「リートに用があるんだよ」
「……はいはい」
「ちょ、なにその適当な返事っ」
だって顔に"言い訳です"って書いてあるんだもん。まぁ、いいけど。ついこの間、リートさんには気を付けなきゃなと思わされたところだ。
もともとスキンシップの激しい人だとは知っていたけど、度を越えたものはもうフレンドリーとかじゃない。
嫌がらせか、セクハラか……いや、男同士でセクハラもおかしいかな。
「いいけど。じゃあお願いね、圭」
真っ直ぐに圭を見つめてやると、圭は「……おう」とうなずいた。でもこの体勢から動こうとしない。
「なに、圭」
今更眼鏡のズレをなおすと、圭の額が赤くなっている事に気付いた。
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