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携帯電話を持っていない自由な方の手を持ち上げ、明るい色をした前髪をよける。赤くなった額に指を触れさせていると、じんわりと熱を感じた。
「いいいいいいい伊万里?」
「赤くなってる、おでこ」
あんなに必死に土下座とか、しなくていいのに。冷蔵庫の時もそうだったけど。
ここは僕が借りたアパートだけど、圭も一緒に住んでるんだから。
額を撫でていた手を、そっと頬へ滑らせる。それから何か言いたげな唇を撫でた。
圭の頭から湯気が出そうだ。まだ何もしてないのに。
「圭って、元気だよね」
「ど、どういう意味だ?」
危うく指先を噛まれそうになりながら、僕の指は圭の顎へ逃げ、男らしい喉仏をくすぐる。
「昨日も、あんなにしたのに……」
首の周りを広くカットされたシャツから、逞しい肌が覗く。その首もとに指を引っ掻けた。
「僕なんて、まだダルさ抜けないし」
「やややややや」
「寝不足だし」
服に引っ掻けていた指を離し、そっと圭の耳に触れた。
圭が僕の手を離してくれたら、そのまま抱き付けるよう。
「もっかい、する?」
ゆっくりとまばたきをする間に、圭が目を回した。
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