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原稿が入った封筒を小脇にかかえ角田は女編集長に背を向けた。
『夜目の名前を聞いたとたん逃げんの?
悪いけどだから角田さんは11年も投稿生活なのよ。
嫌いな人を嫌いな道を避けてきたって、
今の反応みたいにね!』
『はぁあ、あなたに何がわかるんですか?』
『あなた1人ならいつまでも投稿生活とフリーターをしていれば良いわ。
だけど守る人がいるのならそろそろ視点を変えて頑張ってみたら?
ってあたしは言いたいの!』
『守る人…遥香や4人の子供たち…―――小説って書き方なんてわかりません』
『わからなければあたしや夜目、他にも担当者はたくさんいるから』
『夜目以外でお願いします』
『あたし変わりものなの、夜目とあなたがお互いに反発しあって、たがらかな―あの冷静沈着な夜目もどんな反応をするかみものだわ』
『あのっだから夜目以外でっっ』
『だったらこの話は白紙ね、フリーターとして頑張って』
女編集長は立ち上がりため息をついた。
『遥香さんもよくフリーターで黙認しているもんだわ。時間取らせちゃって話は白紙よ』
【遥香さんもよくフリーターで黙認しているもんだわ】
角田は先ほどの言葉を自問自答した。
「漫画頑張って」
「いつか認めてもらえるわよ」
「あたし応援する、だからそんな哀しそうな顔をしないで」
漫画原稿のダメ出しの夜、落ち込む俺に遥香は言った…
守るもの――遥香と子供達!
『気にいらないけど夜目で我慢します!』
***
『そういう事、夜目司くん』
夜目の反応を楽しみに三角目で、彼のネクタイを触りながら編集長は言う。
『なぜ!俺が!?
なぜ!角田!!
断ります!!』
会社に戻った後だったが夜目は拒絶反応を示し後ずさる。
女編集長はニヤリと笑った。
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