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『角田が真面目にやらないから!』
『夜目のやり方が気に入らねぇ!』
『上手くやれば最強コンビじゃない、高校のクラスメートだって?
性格を把握してるなら上手くリードするのが夜目ちゃんの仕事じゃない。
いちいち突っかかってらしくないわよ』
『こいつとなんか話にならない!』
夜目が言う。
『お互い様だ!』
角田も負けない。
『角田遥香さんには4人のお子さんが居たわねぇ』
編集長は意味ありげに2人の肩を撫でた。
『やりましょう!新人賞!』
夜目・角田の声が揃った。
『お腹減ってんのよっ!
大盛りチャーシュー麺があたしを呼んでんのよっ!
飯行くわよっっ』
女は強い!
とくにこの女編集長は男並みに駆け引きが上手い!
***
だが夜目・角田は顔をつき合わすと喧嘩していた。
イライラと髪をぐしゃぐしゃにする2人。
『携帯忘れてるわよ』
女編集長はデスクから落ちていたスマホを拾い上げる。
『角田のですよ』
夜目は仕事をしながら呟いた。
『自宅知ってるなら届けてあげなさいよ』
『やだね』
女編集長は彼の携帯から〈は行〉を出し遥香の電話番号を出していた。
『遥香さんに渡しに行こうかしら』
『俺が行きますっっ!』
夜目はデスクから立ち上がった。
『遥香さんも…罪な女ね』夜目の態度を見て両手をヒラヒラさせる編集長は、
頑張れ!とばかりに彼の肩を叩いた。
『当たって砕けてこい!』『……………はぁあ』
夜目は小さく悪態をついた。
『俺の方がいい男だ、砕けてこいなんてあんまりだ』
…
……
夜目は駐車し待ち合わせのスーパーに向かった。
『夜目くん!久しぶり~!』
ショートカットだが面影で呼び掛けてくる前に遥香だとわかった。
『遥香!会えて嬉しいよ』角田に見せる不機嫌な顔とは違い、
彼女への想いを込めた笑顔になる夜目であった。
『制服?ここで働いてんの?子供大丈夫なのか?』
『一番下は幼稚園だからお迎えまで働けてる』
『角田はそれで平気なのかよ!育児に家事にパート!遥香が一番苦労してんじゃん!』
『ううん…夜目くん苦労じゃない。
彼には漫画を描いて…ううん今は小説を書いていてほしいから』
やるせない想いの夜目は抱きしめたい衝動と闘い、
しゃがみ込む。
『幸せなのか?パートや育児に追われて』
『うんっ!』
『罪な女…おまえって昔から罪な女だよ。
おまえなら許してしまう…小説家サポートしてやろうじゃないか!
遥香の為に!』
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