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『夜目おまえが気にしてどうする?
まさかあの時みたいに俺のいない所で…っ』
角田は封筒を取り返す事よりも、高校の忌々しい出来事を思い出したようで両拳を握る。
その闘志と角田の顔の変化に夜目は楽しそうに眉をつりあげた。
『遥香のバージン奪ったのは俺様、夜目司だから。
彼女は俺の体にしがみつき司くん…って言ったんだ』思い出したのか夜目は目を潤ませため息をついた。
ガッ‥
角田の拳が夜目の顔めがけとんできた。
黒い鞄で交わした拍子から夜目のメガネが鼻から落ちそうになり、
働く男の威厳よろしく何事もなかったかのようにフレームのズレを指先であげる。
『ガキが…』
後ろに撫でつけた髪・スーツ・鞄に革靴の夜目は掃き捨てるように言い放った。
角田が反撃的な言葉を発する前に着信がなり、拳は夜目に向かわずに電話をとった。
『あぁ正樹…何?
週刊コミコミの発売?
買ってこいって…わかったわかった…じゃ』
正樹とやらの電話に顔つきが穏やかになる角田。
『男も好きだったとは…遥香ちゃんが知ったら…』
『はぁあ?
俺は男になんか興味はない、正樹は遥香と俺の三男だ』
『…三男ーーーおまえ3回も妊…』
『もう1人いる…』
もう1人…ーー。
その事実に夜目が角田を悔しそうに睨んでいた。
原稿はダメだったが愉快そうに笑う角田は、
週刊コミコミを買う為にゆっくりとその場から離れていった。
最悪な再会、出来れば顔も見たくない奴と!
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