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Ⅲ
オルドヌングはミルト姉さんのことが好きだ。
フルーフの森で、怪我をして動けなくなっていたのを見つけたのも、その怪我の手当てをしているのも、エサになる小動物を捕まえて捌いているのも、みーんな僕なのに、フクロウのオルドヌングは僕には全然なつかない。
そんなことないとミルト姉さんは言うけれど、四六時中べったりと側について離れないオルドヌングを撫でながら言うものだから、全く説得力がなかった。
本当は森にかえしたかったのだけど、怪我が治ってからも、オルドヌングはあい変わらずミルト姉さんにべったりだった。窓が開いていても、狩りの時にしか出ていかない。そして食事が終わるとお土産を持ってミルト姉さんのところへ戻ってきてしまう。
もちろん、ネズミや小鳥の死骸をミルト姉さんが喜ぶはずもなく、テーブルの上や玄関の前に置かれたお土産を見つけては、ミルト姉さんは悲鳴を上げて涙目になった。
僕はオルドヌングの目を盗み、ミルト姉さんが発見する前に、こっそりと死骸を森に捨てに行くようになった。ミルト姉さんもたぶんその事に気づいていたんだと思う。
よっぽどオルドヌングのお土産に参っていたらしく、前ほど口うるさく森へ行くなとは言わなくなった。
ミルト姉さんが森へ行くことを黙認してくれるようになり、僕は少し気がゆるんだのかもしれない。
その日、珍しく僕はフルーフの森で迷った。小さな森だから、そのうちに知っている所へ出るさと、のんきにかまえていたけれど、じきにその考えが間違っていたことに気が付く。行けども行けども、知らない風景ばかりで、自分が今、森の出口に近づいているのか、遠ざかっているのかもわからない。
しばらく歩くと、小高く土の盛り上がったところに、サンザシの木が生えているのを見つけた。
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