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 ミルト姉さんが今にも泣き出しそうな顔をして、森の入り口にたたずんでいる。  オルドヌングのおかげで森から出られたのはよかったけれど、いつの間にそんなに時間がたったのか、空には大きな月とたくさんの星が輝いていた。  僕はとても気まずくて、なんとかこの場を切り抜けなければと言い訳をさがしたが、何も思い付かない。今まで、森で迷子になったこともなければ、こんなに遅くまで帰らなかったこともなかった。  助けを求めてオルドヌングを見れば、役目は終えたとばかりに森の入り口にある木の枝にとまって、羽の手入れを始めている。 「……心配した」  ポツリと、ミルト姉さんが言う。  胸がずんと重くなった。今まで、いたずらをして怒られたことはたくさんあったけれど、こんなに悪いことをしたという気持ちになったことはない。 「ごめ」  謝ろうとした次の瞬間には、ミルト姉さんにぎゅっと抱きしめられている。そして耳元でそっと囁かれた。無事で、本当によかった。  ミルト姉さんの言葉は魔法のようにじわじわと心に染みて、僕は泣き出したいような気持ちになった。 「ごめんなさい」  ふんわりと甘い匂いのするミルト姉さんの腕の中で、僕は小さなこどもみたいに素直に謝る。 「心配かけて、ごめんなさい」  ミルト姉さんは僕を放して、にっこりと笑った。 「帰りましょうか?」 「うん!」
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