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Ⅶ
ミルト姉さんの様子が変だった。
フルーフの森で拾った本をしきりに気にしている。
そんなに気に入ったのならあげると言うと、嬉しくもなさそうに、それでも一応はありがとうと言って受け取ってくれた。
本当はいらなかったのかなと思ったけれど、そうでもないようで、暇さえあればぎこちない手つきで本を撫でたり、ページをめくったりしている。
気に入ったというよりも気になって仕方がない、といった様子だ。
あの本の何がそんなに気になっているのか、僕にはよくわからない。本に触れている時のミルト姉さんの戸惑った顔を見ながら、もしかするとミルト姉さん自身もあの本の何が気になっているのかよくわかっていないのかもしれない、と思った。
あの日以来、森へは近づいていない。
オルドヌングのお土産は庭の片隅に埋めることにして、当分の間はおとなしくしているつもりだ。
もっとも、仮に僕が森へ行ったとしても今のミルト姉さんは気が付かないような気もするけど。
何をするにも上の空で、声をかけても生返事。オルドヌングが近くにいても、前のように微笑みかけたり撫でたりすることはなくなった。
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