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 警察の調べだと、どうやら二週間前に亡くなったらしい。  死因は心臓を銃弾で撃たれたことによるショック死もしくは出血多量によるもの。もがいた跡があるから、ショック死ではないかもしれない。  私はたまにこういう異臭を嗅いだ事があった。ハウスクリーニングの仕事しているのだが、こんな町だし、こういうことはたまにある。老人の孤独死の後の掃除なんかも、ウチは結構引き受けるから、私はこういうのに自然となれてしまっている。死体を見たのは初めてだったけど、そんなに驚きはしなかったのは、この町の空気に染まってしまってる証拠なのかもしれない。  ゆきちゃんはどうやら身寄りがないらしく、施設に預けられることになった。  正直少しだけ、私が面倒を見ようかと思わなくもなかった。だけど、そこまでは踏み込めなかった。  一般人でいるためには、関わらないこと。それは自分の中の絶対ライン。  施設にも入れないということなら話は別だったかもしれないけど、とりあえずは、施設に入れるし、関わらないとか言いながら施設のことを調べたら悪いところではなさそうだった。  だから、これでいいと思う。これからあの子がゆっくりと、集団行動とかを学んでいって、幸せになってくれればと思う。  ここで関係ないですぽーいと出来れば話は終わりなんだけど、私はだから賢くない。  少し事態が落ち着いてからこっそりとその施設を覗いて、月に何度か会いに行ってしまっている。  たぶん、あの笑顔に心を打ち抜かれてしまったのかもしれない。  会いに行くと、必ず笑って出迎えてくれるのが嬉しくて、その度に、「ゆきちゃん、家に来る?」と訊いてしまいたくなる。それは流石に、無責任が過ぎる。  だけど――。 「ゆーきちゃん」 「あ、なつのちゃん。おかえり」  笑っておかえりって言われると、抱きしめて、そのままつれていってしまいたくなる。  このお人好し。          了
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