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玄関のドアが開く音。
米子「あっ、省ちゃんやろか?」
対面式の台所へ行く良子。
リビングに入ってくる省吾。
省吾「はぁ、つっかれたぁ、ババァ飯―」
省吾の金髪頭。唖然とする米子。
省吾、米子を見て、
省吾「誰?こいつ」
米子、気を取り直し笑顔で席を立ち省吾に近づく、
米子「まぁ、省ちゃんねぇ、こんなに大きくなってぇ」
後ずさりする省吾。
笑顔が消える米子。
流しで皿を洗いながら話す良子。
良子「もう10何年も会ってなかったからねぇ分かんないか、おばあちゃん一緒に住むから、心臓悪いから心配でしょ」
省吾「うわマジか、ババァ。俺聞いてねぇし」
米子、切れる。
米子「ババァっちなんか!生んでもらった親に向かって、どの口が言いよっとか」
省吾「うわっウザッなんか線香くさくなった、飯いらね、部屋行こ」
リビングから出て行く省吾。うんざり 顔の良子。黙々と食事する圭吾。
〇事務所 中 (朝)
名簿をパラパラめくる省吾。
省吾「ゲッ、これ俺の中学校じゃん」
名簿に『相川省吾』と住所と電話番号 の文字。
省吾「これかけちゃさすがにまずいだろ」
省吾、引き出しから黒いマジックを取り出し、名前を消そうとする。スタッフが話しかける。
スタッフ「相川、タバコ行こうぜ」
省吾「うぃーす」
省吾とスタッフ、部屋を出て行く。
入れ替わりに前沢が入ってくる。
席につく前沢。机には『相川』の苗字だけ消された名簿。
〇相川家 リビング 中 (朝)
固定電話を片手に電話をする米子。
洗濯カゴを持った良子が入ってくる。
電話を切る米子。
良子「お母さん、誰から?」
米子「省ちゃんから、なんか電話番号が変わったとか言って、なんかしおらしぅなっとった、昨日怒鳴ったのが効いたとかいな」
良子「それならいいけど、なんか悪いことしてないかしら」
米子「心配せんでよか、しよったらまた怒鳴ってやるけん、圭吾さん、なんも言わんのやねぇ」
溜息をつきベランダに向かう良子。
〇同 座敷 中 (夜)
襖が開き酔った省吾が入ってくる。
省吾「飲みすぎたぁ、もういいここで寝る」
省吾、寝ている米子の横で顔を寄せ寝る省吾。
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