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〇同 座敷 中 (朝)
箪笥の上に省吾の幼少期の写真がいくつも並んでいる。朝の光が一人で寝ている省吾の顔を照らす。ガバッと目を 覚ます省吾。写真に気付く。
省吾(5)と米子が頭を寄せ合って眠 っている写真。
省吾、複雑な表情をして、
省吾「こんなに俺の写真を」
〇事務所 中
スタッフたちが携帯を片手に電話をしている。ぼーっして席に座る省吾。
電話をしている前沢。前沢の手元、『相川』の文字だけ消された名簿。
前沢「ばあちゃん、ありがとう。家の人には言わないで」
省吾、独り言で、
省吾「悪いことしたかなぁ、ばあちゃん」
× × ×
名簿を見ながら電話をしている省吾。机の上のスマホが鳴る。
スマホ画面に『ババァ』の文字。
〇雑居ビル 非常階段踊り場 外
携帯で話しをする省吾。
省吾「なんだよ、仕事中だよ」
良子の声「おばあちゃんが事故にあったの」
省吾「えっ、なんで?」
良子の声「そんなの知る訳ないじゃない、急いで出て行ったから何かと思ってたらこんなことになっちゃって、もうどうしよう、事故にあった時通帳を握りしめてたんだって、もうなんでまた」
省吾「通帳?・・・」
走って事務所に戻る省吾。
〇事務所
前沢の名簿を取り上げページをめくる る省吾。『相川』の苗字だけ消された名簿。前沢の胸ぐらを掴み立たせる。
前沢に名簿を見せながら、
省吾「おい、お前ここにかけたのか?省吾って書いてあるだろ!」
前沢「は?かけましたよ、ばあさん出ましたけどなんなんすか?」
省吾「省吾つったら俺だろ、俺んちだろ」
前沢「相川さん省吾っていうんすか、ふっそんなの知らねぇし、痛いっすよやめてもらえないっすか」
前沢を殴ろうとする省吾。
前沢「これって相川さんがいつもやってたことなんすよね?」
前沢を殴れず拳を下ろし胸ぐらから手 を離す省吾。部屋を飛び出していく。
〇西南病院 外観
8階建てビルの総合病院。
〇ICU 中
米子が生命維持装置に繋がれベッドで横になっている。うなされるように、
米子「省ちゃんは?省ちゃんが大変なことになっとるとよ」
〇道路
涙をぬぐいながら走る省吾。
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