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「ご迷惑でないなら……ママはいいのよ……」
母親にしたら
藁にもすがる思いなんだ。
「やった!すごく楽しみだよ」
それが息子の
猿芝居だと分かっていても。
「よかったわね。今日は元気がなかったから……」
「ああ、ママがリカを呼んでくれたおかげだよ」
命に係わるような
変な真似されるぐらいならと止められない。
「それじゃ……」
しかし
立ち去りかけて
良心がとがめたのか――。
「手土産にパイを焼くわ。皆さん好きかしら?」
アンジュの母親は
腫れ物にでも触れるかのように
一瞬だけ僕を振り返り。
「ええ……と思います」
「そう。よかった」
言うと足早に姿を消した。
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