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「ここのところ日照り続きで作物が育ちません。神様、お願いします。雨を降らせてください」
と言われれば、軽い音と共に私のいた土地に雨を降らせた。
「昨年は不作で今年こそは豊作になるようお願いします。神様」
と言われれば、重い音と共に私のいた土地の実りを豊かにした。
「虫が増えて作物がめちゃくちゃにされて困っています。神様、虫をどうにかしてください」
と言われれば、鈍い音と共に私のいた土地の虫をほかの土地に追いやった。
その後もその後も……最初はこんな“願い”ばかりだった。
天候・土地・作物に関する願い。
なんで皆がそれらを気にするのかわからない。
けれど、首を傾げながらも願いを聞き届け、叶えた彼らは笑顔で私の下に礼を置いて行った。
米を炊いて丸めたものや野菜が私の前に置かれるたび、誰かの為に役立ったという喜びに私の顔はほころんでいた。
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